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妄想の混じった鉄分ばっかり
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「おれのものだぜ!」と主張するように首筋なのもいいんですが、あえての耳の裏というのが好きです。見えそうで見えない。陽海はそれくらいがちょうどいい!
ちょっと萌えポイントが人とはずれる、それが私です。萌えるものは萌えるんだ!

ここ最近がっと拍手が増えててびっくりしました。ありがとうございます! 頑張れ!という応援だと思って頑張っていきます。キスお題を楽しみにして下さっている先生(笑)もいるので頑張る!

シチュ:倉庫
表情:「上目遣い」
ポイント:「キスマーク」、「相手にキスを迫られている姿」
(倉庫を車両基地に変更しました)

 十六両分を歩くにはそれなりの時間がかかる。やっと一両目に着いて、もうこの車両のこの長さを歩くことはないのかと改めて実感してしまった。一両目のより先端に着けばデッキはなく、乗務員室だ。それはこの車両500系の特徴の一つ。
「……お前もこだまになるんだな」
 開けておいた乗務員室の扉をくぐり、左側の扉を開ける。その扉に書かれているW1のももう見られない。
「ありがとな」
 感謝の言葉を音にしてW1の文字をそっとなぞる。もう一度感謝を言葉にしようとしたら、山陽、と聞き慣れた声色で呼ばれた。声のした方を見れば、線路のバラストに東海道が立っていた。
「なんでここに……」
「お前がいつまで経っても戻らんからだ」
 西日本の車掌にこちらにいると聞いてな、と一度目線をグレーの車体へ移し再び山陽に戻る。
「いつまでうじうじめそめそしている気だ」
「……お前な……」
「明日も通常業務だ。支障をきたさぬようにもう戻るんだぞ」
 背を向け離れた深緑の背中は容赦がない。でも、これが東海道だ。解っていたことじゃないか。振り向くことはない。しかし、再び名を呼んだ声は。
「……見事なラストランだったな」
 黒い目は今一度グレーの車体を見、背中で賞賛と取れる言葉を発した。
 彼に限ってそんなことを言うか? しかし、その言葉を発した声は彼のものだ。山陽が聞き間違うことは有り得ない。だが。
 じょじょに離れる背中にもう迷っている暇はなかった。
 東海道、と彼の名を叫び乗務員室から飛び出した。車内灯を消さなければ、パンタグラフを下ろさなければ、通常だったら冷静さを持ち合わせてそれらを確認した後に降車するが、今はそんな余裕があるわけがない。人が立つにはバランスの悪いバラストに着地し、走れば石が散る。石が擦れる感覚を革靴越しに感じる。鉄の轍の上を走るようになめらかに走られないのがもどかしい。
 追いついた背中と同じ布地に包まれた腕を掴み、後ろから渾身の力で抱きしめる。呻き声が聞こえ身じろぐ彼の反応に少し力を抜いたが、離すつもりはない。
 どれくらい抱きしめてしただろうか。夜の気温により冷え切った己の身体が体温が低いながらも室内にいただろう彼の体温であたたまるくらいの時間は経っていたように思う。
 ふと少し目線を下げたところにある剥き出しの耳は、暗い場所では白く浮き上がっていた。三日前にその耳の裏へ赤を一つ散らした。黒い髪に隠れているが、いまだに赤く染まっているのだろう。
 東海道自身は今もおそろらくこれからも山陽の色に染まるが、あの車両の色にはもう染まらない。それは悲しいが、少しの間だけでも東海道の色の一つになれたと思うと嬉しいのは事実。その彼が、見事だった、と評価してくれたことが更に嬉しかった。
 一度ぎゅと抱きしめ、顎を捕らえて唇を奪った。
「っ、山陽!」
 今名に込められた言葉は、こんなところで何を、という非難だろう。だが、止められるわけがない。
「ありがとう、東海道」
 再び唇に感謝を贈った。



東海道上官は500系=山陽さんと思っていたらいいなー、と呟いてみる。
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